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こんにちは。商品企画の後藤です。今回は尾州の山栄毛織についてのお話。
愛知県の北西部に位置する尾州産地は、毛織物の一大産地として有名です。一宮市、津島市、岐阜羽島市などを総称して、特に日本のファッション産業においては「尾州」と呼んでいます。木曽川の豊富な水源と肥沃で温暖な濃尾平野の恩恵を受け、この地方では昔から織物生産が盛んに行われてきました。尾州産地は糸から織物に至る全工程が地域に結集し、分業体制を確立しているのが特徴です。山栄毛織は尾州の中でも津島市に位置します。津島市は、日本の毛織物の父と呼ばれる片岡春吉を輩出した日本ファッション産業のルーツとも言える土地なのです。
五大陸が山栄毛織と素材開発の取り組みをスタートさせたのは2010年頃。山栄毛織が得意とするのは、「こだわり」の素材づくり。日本産地ならではの、ここにしかない、ここでしかできないものづくりです。稀少なションヘル織機をはじめとする織機を多数保有しており、自社工場を擁して細やかなところまで気を配った素材開発ができるのも山栄毛織ならでは。原料の審美眼はもちろん、その原料の良さを最大限に発揮できる生地規格の「設計」も得意技。
これまでに山栄毛織と五大陸は、温故知新のモダンジャパニーズな素材開発を共にしてきました。60番手のファインウールとモヘヤを掛け合わせた美しい光沢を持つスーツ素材「ロクマルモヘヤ」。先染めの英国羊毛を使用して複雑な色合いを表現したツイード「ブリティッシュフォレスト」。美濃和紙を混紡し、和を現代に昇華した夏のジャケット素材「ペーパーメッシュ」。48番手のウールを度詰めして、シワにならないタフでエレガントなスーツ地として開発した「ヨンパチクロス」。
そしてこの数シーズンご提案している、「レトロテック」。現代は手間がかかるためほぼ行われない糸の染色方法であるカセ染という手法を用いて糸を染色しており、リラックスした状態で染められた糸はストレッチ性を持ちます。色に深みが出るのもカセ染の特徴。2019S/Sはこれにモヘヤをブレンドして春夏に最適な素材を作りました。旧い技術と、現代のテクノロジーの融合。レトロテックの名に相応しく、優美と機能を兼備した素材開発ができました。
このように山栄毛織とはヒザを突き合わせ、ここでしかできない素材開発をしています。今後も日本独自の素材開発にご期待ください。
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