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こんにちは。奥山です。
「A GENTLEMANS ODYSSEY〜旅する五大陸〜」、
英国、フランス、イタリアとヨーロッパの国々を旅してきましたが、
今回はアメリカ大陸へと向かいます。
フロンティアスピリット溢れる人々が新天地を求めて海を渡り、
多民族によって成り立っている国家がアメリカ。
さまざまな体型や宗教観、生活スタイルの人が多く集まってきたため、
誰にでも合いやすいファッションが求められました。
そのうえ人口が急増したため、丈夫で長持ちし、大量生産が可能ということに
重点を置いて発展していきます。
1848年にはカリフォルニアで砂金が見つかり、ゴールドラッシュが起こり、
それに伴い丈夫なキャンバス生地のパンツとして、ジーンズが誕生しました。
肌着であったTシャツもファッションアイテムとして定着し、
アメリカンカジュアルの象徴として進化していきました。
こうした過酷な自然の中でもビクともしないような実用性や
工業製品のように規格化されていったのが、アメリカ独自のファッション。
まさに合理性という一言に尽きます。
世界一の大国としてアメリカが発展するのと同時に、
アメリカファッションは世界中に多くの影響を与えていきました。
中でもアメリカントラッドはメンズファッションの一大潮流として
世界中に浸透し、日本でも1960年代にアイビーブームを引き起こしました。
そもそもは1954年に「ハーバード大学」「イェール大学」「プリンストン大学」
「コロンビア大学」「ペンシルベニア大学」「ブラウン大学」「ダートマス大学」
「コーネル大学」の8大学のフットボール連盟である「アイビーリーグ」が結成。
彼らのファッションスタイルを、国際衣服デザイナー協会が
アイビールックと名付けたことが始まりです。
イギリスの伝統的なスタイルにアメリカの培ってきた合理性と機能性を加えた
新たな時代のファッションは、数々の象徴的なアイテムを生み出しました。
アメリカントラディショナルでは、上下が別生地のブレザーとパンツが基本。
これは大量生産や多くのサイズバリエーションを揃えるため、
ジャケットとパンツの生産工場を別々にした結果で、
それをコーディネートし着用するという合理性から生まれたもの。
アメリカ製のブレザーは、肩パッドや副資材は少なめで
ゆったりめのシルエットが多いのも、大量生産を可能とし、
多くの人に合わせやすいものとするためでした。
また、アメリカで誕生したトラッドシャツとして知られるBDシャツは、
ポロ競技で風に煽られないようにシャツの襟をボタンで留めていたことから生まれたもの。
まさに実用性を重視して生まれたシャツで、ドレスからカジュアルまで
着まわせるのが特徴です。
五大陸では来期の春夏も、ブレザーやBDシャツ、ジーンズなどがラインナップ予定。
アメリカテイスト溢れるアイテムを今の時代感に合うデザインにアップデートしています。
みなさんお楽しみに!
次回はついに我々の国、日本に戻り「日本のものづくり」、
そして日本発世界服をブランド哲学に掲げる五大陸の服づくりについて探っていきます。
奥山泰広(おくやま やすひろ)プロフィール
編集プロダクション POW-DER 代表。男性月刊誌『Begin』の編集長を経て、『THE RAKE』や 『AERA STYLE MAGAZINE』『MADURO』『MEN’S CLUB』などの男性誌やブランドカタログ、 企業会報誌などを手がけている。
http://www.pow-der.jp/
イラスト/新地健郎、平沼久幸
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