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こんにちは。奥山です。
「A GENTLEMANS ODYSSEY〜旅する五大陸〜」、
英国、フランス、イタリア、そしてアメリカと巡った旅も
ついに終着地、日本へと戻ってきました。
まずは日本のスーツの歴史から振り返ってみましょう。
もともと和装だった日本人がスーツを着るようになったのは、
鎖国が終わった明治維新以降。
明治20年ごろから、背広として一般の人々にも広がりはじめますが、
まだ礼服としての意味合いが強いもので、スーツはオーダーで誂えるものでした。
第二次世界大戦後、機械による大量生産化が進み一般に普及し、
日本の男性のスタンダードな装いとして定着しました。
1960年代には前回取り上げたアイビールックが流行り、
1980年代のバブル期に入るとイタリアンブランドブームが到来し、
ダブルのスーツや太めのシルエットのスーツが主流となりました。
さらに1990年代中盤からクラシコイタリアが台頭し、
クラシックなスーツスタイルに注目が集まっていきました。
そして現在ではスーツのカジュアル化が進み、クールビズやジャケパンなど、
多様なスタイルで着こなされています。
例えば、ストレッチや撥水性などの機能系素材をスーツに取り入れ、
より着心地をよくしたスーツを生み出したのは日本のメーカー。
世界のスーツブランドも今ではその後追いをするようになり、
スーツの機能性をより追求したものを作るようになりました。
こうした日本のスーツの変遷の中で、五大陸は1992年秋にデビューしました。
今までこの連載で巡ってきた「英国の伝統」「フランスの華やぎ」
「イタリアの域」「アメリカの合理性」、これらすべてを理解したオンワードが、
「日本の繊細」によって仕立てる新時代のスタンダードを生み出すブランドとして
スタートしたのです。
そのブランドコンセプトは、「東京発国際服」。
西洋から取り入れたスーツという文化に対し、日本ならではの柔軟な思考で解釈し、
各国のいいところを取り入れながら、日本のライフスタイルに合うものを生み出し、
世界に向けて新たなスタンダードを発信していきました。
今期の五大陸のスーツにもこのコンセプトは受け継がれています。
その代表がこのレトロテックのスーツ。
レトロテックは現在では毛織物で使われなくなった綛染め(かせぞめ)と呼ばれる
糸を束ねた状態で染める技法を採用しています。
原料がリラックスした状態で染めるため、ウール本来のクリンプが保たれ
ストレッチ性が出るのが特徴です。ふくらみのある風合いで光沢感も増し、
さらにシルクをブレンドしているので、高級感のある見た目で
ジェントルなスタイルが叶います。
まさに日本でしか作れない、国際スーツと言えるでしょう。
>五大陸のスーツはこちら
英国から始まったスーツの旅も終着地の日本へとたどり着きました。
今回で「A GENTLEMANS ODYSSEY〜旅する五大陸〜」の各国を巡る旅は終了となりますが、
次回は男性にとってのスーツや五大陸の今について、
特別編として二人のキーマンにお話を伺い、深掘りします。
お楽しみに!
奥山泰広(おくやま やすひろ)プロフィール
編集プロダクション POW-DER 代表。男性月刊誌『Begin』の編集長を経て、『THE RAKE』や 『AERA STYLE MAGAZINE』『MADURO』『MEN’S CLUB』などの男性誌やブランドカタログ、 企業会報誌などを手がけている。
http://www.pow-der.jp/
イラスト/新地健郎、平沼久幸
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